先日国際センターで開催された「国際防災フォーラム2023」に出席しました。
　もともとは東日本大震災の教訓や復興のノウハウを世界で共有することが大きな意義であり、今回が3回目、いずれも仙台で開催されています。
　弊行は第１回フォーラム開催時（2015年）より設立メンバーとして関与しています。
　様々なセッションや展示物を拝見しました。思いつくまま印象を書いてみます。

IT技術を駆使した分析を通して、
被害の最小化に資する知見が
得られ始めています

会場に浮かべてあるGPSからの情報で津波のリアルな動きを捉えることが、震災時にすでに実現していたことを知りませんでした。そうしたスピーディーな情報の加工／配信で即応性が高まるのだろう、という希望を持つことができます

BOSAIは海外の方にも刺さる
コンテンツになりつつあります

海外からの参加者が目立ちました。欧米はもちろんのこと、台湾やインドネシアなど、同じく地震津波の悩みを持つ国々の方がご自身の体験をシェアされる機会も目にすることができました。被災地ツーリズムも始まっています

「釜石は奇跡でない、言うなれば”best practice”である」

すでに人口に膾炙した言葉かもしれませんが、フォーラムに参加されていた登壇者によるこの発言が印象的でした。事前の準備、現場での絶え間ない判断により、助かるべくして助かったのだ、ということがよく分かりました。

私自身は、着任してからいわゆる震災遺構を巡り歩いておりました。その感想をまとめて寄稿しています（https://forbesjapan.com/articles/detail/60906/）。微力ですが、ここにいる間に発信できることを地道に発信していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

今月の幹事会では、小林代表幹事からの挨拶に続き、まずは会員異動について審議を行い、満場一致で承認されました。引き続いて、事務局より後援名義使用申請（企業の未来プロジェクト２０２３、学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ２０２３）、通常総会の議案（今年度事業報告、収支決算、来年度事業計画、収支計画）、委員会の活動（人材育成委員会・東北キャリアゼミ、地域創生委員会・宮城県における外国人材の活用・活躍セミナー、まちづくり委員会・部活支援プロジェクト）について報告を行いました。

その後、幹事の一人から、全国におけるコンパクトシティの現状、G７科学技術大臣会合の現状、定禅寺通りにおけるJAZZイベントの活性化などについて報告がありました。最後に大山終身幹事から、今後の景気回復の中で、地域経済における賃上げをどう実現していくか、という問題提起がありました。

東日本大震災から12年が過ぎました。この12年を振り返っても大地震や集中豪雨、火山噴火、そして感染症など、さまざまな災害が毎年のように発生しています。そこで、津波工学の第一人者であり、東北大学災害科学国際研究所前所長の今村文彦先生をお招きし、震災・災害対応の現状と課題、そして、社会生活においてどのような対応が求められるかをお話しいただきました。今村先生はレジリエント（回復力ある）社会の構築、さらに震災を教訓として次世代へ伝え、実践的な防災・減災に生かすことの重要性を指摘されます。

【今村文彦氏　略歴】

1961年生まれ。1989年東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。2000年東北大学大学院工学研究科教授。04年東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター長。12年東北大学災害科学国際研究所教授。東北大学総長特別補佐。14年東北大学災害科学国際研究所所長。15年東北大学副理事。16年東北大学災害復興新生研究機構副機構長。17年東北大学高等研究機構災害科学世界トップレベル研究拠点長。1999年日本災害学会学術賞。2013年内閣府防災功労者防災担当大臣表彰。15年文部科学大臣表彰など多数受賞。23年3月31日東北大学災害科学国際研究所所長を退任。