Monthly Report No.430

年頭所感 代表幹事 小林 英文 image

2024年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
 昨年を振り返りますと、海外経済は各国中央銀行の金融引き締め策にもかかわらずインフレが長期化し、中国経済の減速や中東情勢の悪化など世の中における不確実性の高まりを感じた一年でありました。国内経済については、物価高や人手不足などが足かせとなったものの、新型コロナウイルスの5類感染症移行によりインバウンドも含めた観光需要が回復したほか、価格転嫁の進捗や政策効果の下支えなどにより企業収益や雇用所得環境が堅調に推移し、全体としては持ち直しの動きとなりました。
 宮城県では台湾大手の半導体工場の建設、旧電力ビルや東北学院大多賀城キャンパス跡地などの大型再開発プロジェクトの発表など地域に大きな経済効果が期待される明るい話題が相次ぎました。2024年度には次世代放射光施設の稼働や東北大への国際卓越研究大としての支援開始も予定されており、イノベーションやスタートアップの創出に向け、産学官金の連携強化の必要性が一層高まっています。
 また、昨年は記録的猛暑や海水温上昇など気候変動の影響を大きく受け、地球環境や経済・生活などの持続可能性を高める脱炭素やSDGsについての意識が浸透した年でもありました。スポーツの分野では3月にWBCで大谷翔平選手をはじめ東北ゆかりの選手も大活躍した「侍ジャパン」が3大会ぶりに世界一を奪還、春の高校バレーでも宮城県の古川学園高等学校が23大会ぶりの日本一に輝くなど、多くの感動を届けてくれました。
 こうした中、当会では7月に仙台市、株式会社経営共創基盤、当会会員でもある一般社団法人VENTURE FOR JAPANと「若者のチャレンジ促進による地域経済の活性化に関する連携協定」を締結。さらに今年4月から本格稼働を予定している「部活支援プロジェクト」の実施に向け、昨年12月に仙台市、仙台市教育員会と「部活動の地域移行及びスポーツ振興等に係る連携協定」を締結しました。今後も地域の社会課題解決を実現・実行していく経済団体として会員皆様で知恵を絞り、行動し続けたいと考えております。
 2024年の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」であります。これは「急速な成長と変化、これまでの努力が実って夢が叶う」と解釈されております。本年が会員の皆様にとっても成長・開花となる素晴らしい一年となることを祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

年頭所感 代表幹事 小林 英文 image

仙台経済同友会の皆様 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。
 2023年は、ロシアのウクライナ侵攻が膠着状態となる中、イスラエルとパレスチナの紛争が再燃しました。昨年の年頭所感で、「侵攻が常態化する日常」への対応を継続、と書いていましたが、「侵攻の常態化」だけでなく、世界各地で紛争が拡大する懸念が増大しています。ただ、この状況はいわゆる「織り込み済み」になりつつあり、資源価格等への影響は少なくなっていると思います。
 様々なエコノミストの見通しを見ると、日銀のマイナス金利政策の終了はほぼ一致しており、ゼロ金利政策までは戻るとの見方が大半のようです。一方、米国の金利政策はアナウンスされている金利引き下げを図り、景気後退のソフトランディングとなるとの見方と更なる景気後退局面になるとの見方が交錯している感じです。いずれにせよ、大統領選の結果で大きく変動する可能性があるという点では一致しています。
 こういった流れを受けて、為替は緩やかな円高に振れると思いますが、限定的なものとなるでしょう。国内では、2024年問題やインフレにも対応するべく賃金改定が進むと思われますが、大企業と中小企業での体力差が開くことが懸念されます。人手不足な業種ほど賃金改定が経営に及ぼす影響が大きく、人材の確保や獲得が厳しい状況が続くものと思われます。
 一方、コロナ巣ごもりからの解放で、モノ消費からコト消費に消費性向が変化していることを肌で感じています。出張の際の交通機関の混雑やホテル価格の上昇等が象徴していると思います。インバウンドが回復してきただけでなく、日本人も失われた4年間を取り戻すが如く動いていると思います。この傾向は2024年も続くと思われます。ただし、現在のこの動きの中に、中国人はほとんど含まれていないと思われることが今の中国を象徴している気がします。
 日本との様々な関係から、中国からの団体客はほとんど来日していないようです。さらに、中国国内景気の落ち込みが大きく響いていると思われます。欧米経済は景気後退局面からある程度安定し、2025年には回復といったエコノミストの見通しは多いのですが、中国経済には懸念しかありません。
 いずれにしても、2024年の日本経済は緩やかな回復基調という見通しなのだと思います。インバウンド需要の取り込みは大きなチャンスだと思います。インバウンドをなかなか取り込み切れない東北はインバウンド取り込みにチャレンジする年としなくてはなりません。そして、上昇する物価を吸収し、経済全体を押し上げるにも賃金改定は必要なのだと思います。経営者には苦しい選択になるのだと思いますが、ニワトリを育てなくては卵を産んでくれないので、ここが踏ん張りどころだと自分にも言い聞かせています。
 仙台経済同友会の活動は、これまでの活動を更に活性化させると共に、それぞれの委員会活動の充実を図り、会員の皆様に価値を感じていただけるようにして参りたいと思います。今年は海外視察も再開いたしますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
 皆様にとって実り多い2024年になることをお祈り申し上げます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

幹事会だより

2023年12月18日

今月の幹事会では、小林代表幹事からの挨拶に続き事務局より、後援名義申請(みやぎ工業会 第62回新春産官学交流大会)について、委員会の活動として外国人雇用セミナー、スポーツ振興に関する仙台市との連携協定調印式、東北キャリアゼミ卒業式について報告を行い、それぞれに参加した委員長・副委員長、幹事から内容についての感想や補足について発言があり、最後に、大山終身幹事から自社のビジネスに基づく最近の景況感について発言がありました。

例会DIGEST

明日の社会とリーダーシップ

株式会社オリックス シニア・チェアマン 宮内義彦氏

株式会社オリックス シニア・チェアマン
宮内義彦 氏

ビジネス環境が著しく変化していく中、生産性の向上や目標達成、課題解決に向けての舵取りを行うリーダーの存在が高まっています。そこで、オリックスで長く経営を率いた宮内義彦氏をお招きして、リーダーの条件やリーダーシップのあり方をご講演いただきました。これからのリーダーに欠かせないのが「専門性」と「人間力」であり、特に専門性を発揮するには「マクロ観」を身にけることが不可欠と話す宮内氏。企業経営を担う方々に向けて、自らの経験に基づいた持論を熱く語り伝えていただきました。

【宮内義彦氏 略歴】

1935年神戸市生まれ。58年関西学院大学商学部卒業。60年ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿実業(現双日)入社。64年オリエント・リース(原オリックス)入社。70年取締役。80年代表取締役社長・グループCEO、2000年代表取締役会長・グループCEO、03年取締役兼代表執行役会長・グループCEOを経て、14年シニア・チェアマン就任、現在に至る。総合規制改革会議議長など数々の要職を歴任。新日本フィルハーモニー交響楽団理事長などを兼務。著書に「明日を追う」(日本経済新聞社出版社)、「経営論」(東洋経済新報社)、「リースの知識」(日本経済新聞社出版社)など。

会員情報

会員総数350名(2024年1月17日時点)

※今月の「マイ仙台暮らし」は休載します。