Monthly Report No.441

年頭所感 代表幹事 小林 英文 image

あけましておめでとうございます。2025 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
 昨年を振り返りますと、元日早々に能登半島地震が発生し、石川県を中心に大きな被害をもたらすなど、改めて災害対策の重要性を感じた 1 年でした。世界経済がインフレからの軟着陸を模索するなか、各国では総選挙などが相次ぐ選挙イヤーとなり、アメリカの大統領選挙では共和党のトランプ氏が勝利を収め、今後の経済政策や外交政策に注目が集まっております。国内においては、好調な企業業績などに支えられ、 日本経済は緩やかに回復し、日経平均株価は約34年ぶりに史上最高値を更新しました。また、金融政策面においては、日銀によるマイナス金利の解除、政策金利の引き上げが行われ、「金利のある世界」が到来するなど大きな変化の年となりました。10月には自公連立政権の石破新内閣が発足しましたが、その後の衆議院総選挙で政権与党が大きく議席を減らし過半数割れとなったことで今後の政権運営に不透明感が増しております。地元経済界においては、台湾の半導体製造大手 PSMC による大衡村への進出計画は実現しませんでしたが、今後も製造業などの企業誘致が継続される見通しです。また、次世代放射光施設「ナノテラス」の本格稼働や東北大学の「国際卓越研究大学」国内初認定といった研究開発分野をはじめ、地域の発展につながる材料も数多くあります。
 経済以外に目を向けますと、昨年は夏季オリンピックがパリで開かれ、宮城県 ゆかりの選手も大いに活躍し、日本勢は過去 2 番目に多い金メダル 20 個、総メダル 45 個とメダルラッシュに沸きました。また、アメリカのメジャーリーグでは岩手県出身のドジャース大谷翔平選手が前人未到の50(フィフティ)-50(フィフティ)を達成し、3 度目の MVP に 輝くなど日本人アスリートの活躍が私たちに勇気と感動を届けてくれました。
 こうした中、全国各地の経済同友会との会議やセミナーの場では、国内の人口減少に関する議題が多く取り上げられ、将来的な地方経済の衰退にかかる危機感の高まりを改めて感じました。本年は当会におきましても、地方創生への取組みの一環として、今後の宮城県内における人口減少という課題に対して、特に仕事や子育てに励む世代が住みやすく、働きやすいと思える街の環境整備に向けて行動してまいります。
 2025年の干支は「乙巳(きのと・み)」であります。二つの漢字の意味を合わせると「いかなる困難があろうとも、現状に安住することなく、新たなチャレンジが求められる年」と解釈することができます。本年が会員の皆様にとっても、挑戦を通して更なる飛躍を遂げる希望に満ちた一年となることを祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

年頭所感 代表幹事 小林 英文 image

仙台経済同友会の皆様 明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。
 昨年の年頭所感では「米金利引き下げと日銀のゼロ金利政策の見直しによる緩やかな円高」を予想していましたが、見事に外れてしまいました。日米の金利政策の見方は決して悪くなかったと思いますが、市場の織り込み方等により、むしろ大幅な円安になってしまいました。つくづく、希望的観測を入れての予想はするものではないと反省しています。
 さて、本年に関しては、国内外ともに方向性が見えないと感じています。国内は少数与党の政府が野党の言いなりになるのか(様々な意見を取り入れるという利点はあると思いますが…)、短命政権で終わるのか、予想がつきません。
 国外に関しては、アメリカのトランプ大統領の政策がどのように日本に影響を及ぼすのか、流動化する中東情勢、ウクライナ情勢の進展はあるのか、韓国の政情不安、G7各国政権の不安定さ等、地政学的リスクはさらに増大しています。
 今年は乙巳(きのとみ)年です。60年前は、アメリカの北爆開始や日韓基本条約、戦後初の赤字国債の発行がありました。2013年にアベノミクス、2001年は小泉内閣、世界同時多発テロ、1989年は平成元年、消費税施行、天安門事件、ベルリンの壁崩壊がありました。巳年は「成長・変革の年」といわれるようですが、過去を遡ってみると「歴史的な転換、変革、動乱等」があり、それぞれの事象が、その後の社会に大きな影響を与えたことに気付きます。2024年までに起きた世界各地での戦争の結末や、政権交代による政策変更等が大きな変化点となるのかもしれません。
 改めて日本を見渡すと、先進国の中でも最も貧しい国のひとつになってしまっているのは否めないと思います。昨年10月までに3,000万人を超えたインバウンド需要が経済のけん引役の一つには違いないと思いますが、「日本が安い国だから選んだ」という理由も多くあると思います。
 失われた30年は成長が止まっただけでなく、世界の成長から取り残されてしまったことに、インバウンドの消費行動から気付かされた気がします。世界はインフレの中で物価と所得が並行して伸び、所得の伸びを享受できる層が消費を喚起していると思います。実際に海外に行かれた方は感じていると思いますが、全ての物価が日本の倍以上になっている感覚です。その価格を吸収できる消費力があるからバランスしているのだと思います。
 一方で、全ての人々が物価に応じた所得を得ているわけではありません。そこにさらなる格差が生まれていることも事実だと思います。その格差が、各国での様々な紛争や政治情勢の不安定さにつながっているのでしょうが、大きな事件等に発展しないことを祈るばかりです。
 こういった情勢の中で、取り残されている場合ではないと思います。今後も賃上げは続くと思いますし、続けなくてはなりません。その賃上げを吸収し、企業が成長するために必要な適正価格での取引を進めなくてはなりません。そのためには、既存市場での既存製品や商品・サービスではなく、適正な価値を認められる製品や商品やサービスを新たな市場に供給し、成長が実感できるような切掛けの年になってほしいと思っています。
 業界紙のインタビューで、今年を漢字一字で表してほしいと問われました。考えた末に「渾」という字にしました。渾の意味には「大きな流れになる」とか「ひとつになる」等の前向きな意味となります。一方、今の世界は「渾沌(カオス)」状態かと…。この「渾沌」とした世界が「渾然一体」となる年であればと思います。
 仙台経済同友会の皆様には、同友会の活動が有意義なものとなるよう進めてまいりたいと思います。皆様から忌憚のないご意見をいただきながら、よりよい経済団体活動になるよう努めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いします。

幹事会だより

2023年12月17日

今月の幹事会では、西井代表幹事からの挨拶に続き、事務局から後援名義使用申請(第63回新春産学官交流大会、令和6年度仙台市ライフプランセミナー)について報告を行いました。

その後、竹川幹事より仙台市内の企業におけるIT・AI人材育成に関するアンケートへの協力依頼があり、再度、事務局から委員会の活動状況、今後の活動について報告を行いました。

その後、大山終身幹事より国内の景況感等について報告があり、それを元に参加した幹事の間で意見交換を行いました。

例会DIGEST

DXとは何か
~地方からの挑戦~

株式会社オリックス シニア・チェアマン 宮内義彦氏

東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授
IGPIグループシニア・エグゼクティブ・フェロー

西山圭太 氏

今回は、行政官として多方面で活躍され、退官後もその経験を活かして日本経済に貢献し、DXについての著書もある西山圭太氏を講師としてお招きしました。
 西山氏は、DX は単なるツールではなく、効果的に取り込むと組織のコミュニケーションが変わり、意思決定のプロセスが変わり、サービスが変わり、組織の風土も変わるとお考えでした。また、DXは業種を超えての導入が可能で、すぐに使えるソリューションを提供する人々も増えているとのこと。会社を変える意志があれば、DXの導入により、様々なことが実現できるはずと述べられました。

【西山圭太氏 略歴】

東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。オックスフォード大学哲学・政治学・経済学コース修了。株式会社産業革新機構専務執行役員、経済産業省大臣官房審議官(経済産業政策局担当)、東京電力ホールディングス株式会社取締役、経済産業省商務情報政策局長などを歴任。日本の経済産業システムの第一線で活躍したのち、2020年夏に退官。株式会社IGPIグループ/経営共創基盤シニア・エグゼクティブ・フェロー。パナソニックホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ダイセル社外取締役。著書に『DXの思考法』(文藝春秋・2021年)、共著に『相対化する知性』(日本評論社・2020年)がある。

会員情報

会員総数364名(2025年1月14日時点)

※今月の「マイ仙台暮らし」は休載します。