年頭所感 代表幹事 西井 英正 image
 仙台経済同友会の皆様 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。
 2023年は、ロシアのウクライナ侵攻が膠着状態となる中、イスラエルとパレスチナの紛争が再燃しました。昨年の年頭所感で、「侵攻が常態化する日常」への対応を継続、と書いていましたが、「侵攻の常態化」だけでなく、世界各地で紛争が拡大する懸念が増大しています。ただ、この状況はいわゆる「織り込み済み」になりつつあり、資源価格等への影響は少なくなっていると思います。
 様々なエコノミストの見通しを見ると、日銀のマイナス金利政策の終了はほぼ一致しており、ゼロ金利政策までは戻るとの見方が大半のようです。一方、米国の金利政策はアナウンスされている金利引き下げを図り、景気後退のソフトランディングとなるとの見方と更なる景気後退局面になるとの見方が交錯している感じです。いずれにせよ、大統領選の結果で大きく変動する可能性があるという点では一致しています。
 こういった流れを受けて、為替は緩やかな円高に振れると思いますが、限定的なものとなるでしょう。国内では、2024年問題やインフレにも対応するべく賃金改定が進むと思われますが、大企業と中小企業での体力差が開くことが懸念されます。人手不足な業種ほど賃金改定が経営に及ぼす影響が大きく、人材の確保や獲得が厳しい状況が続くものと思われます。
 一方、コロナ巣ごもりからの解放で、モノ消費からコト消費に消費性向が変化していることを肌で感じています。出張の際の交通機関の混雑やホテル価格の上昇等が象徴していると思います。インバウンドが回復してきただけでなく、日本人も失われた4年間を取り戻すが如く動いていると思います。この傾向は2024年も続くと思われます。ただし、現在のこの動きの中に、中国人はほとんど含まれていないと思われることが今の中国を象徴している気がします。
 日本との様々な関係から、中国からの団体客はほとんど来日していないようです。さらに、中国国内景気の落ち込みが大きく響いていると思われます。欧米経済は景気後退局面からある程度安定し、2025年には回復といったエコノミストの見通しは多いのですが、中国経済には懸念しかありません。
 いずれにしても、2024年の日本経済は緩やかな回復基調という見通しなのだと思います。インバウンド需要の取り込みは大きなチャンスだと思います。インバウンドをなかなか取り込み切れない東北はインバウンド取り込みにチャレンジする年としなくてはなりません。そして、上昇する物価を吸収し、経済全体を押し上げるにも賃金改定は必要なのだと思います。経営者には苦しい選択になるのだと思いますが、ニワトリを育てなくては卵を産んでくれないので、ここが踏ん張りどころだと自分にも言い聞かせています。
 仙台経済同友会の活動は、これまでの活動を更に活性化させると共に、それぞれの委員会活動の充実を図り、会員の皆様に価値を感じていただけるようにして参りたいと思います。今年は海外視察も再開いたしますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
 皆様にとって実り多い2024年になることをお祈り申し上げます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。